(備忘録)
ほんとうのピノッキオ
監督:マッデオ・ガローネ
出演:(ジェペット爺さん)ロベルト・ベニーニ(ピノッキオ)フェデリコ・エラピ
たくさん本を読む子供ではなかったけれど、流石にピノキオは読んだはず。嘘をつくと鼻が伸びるあのお話。
大人になって出会う児童文学は意外と学びがあり、このピノッキオも子供物語というか人間そのものだなと感じた。目的目標色々と頭の中ではわかっていることなのにちょっとした誘惑やら楽出来そうな道やら、ネコとキツネの誘惑にふらふらしてしまう。
痛い目に合ってその時その時助けてくれる人がいたり忠告してくれる人がいたりして、うんうんわかっているわかったといいつつもなかなか根っこの部分が変えられないこともある。(あるあるだ)人間ってそんな不完全な生き物。
絵本とは違って本作実写版のピノッキオはかわいいか?というとかわいくはない。リアルなウッドな悪童で可愛くないのが不完全さを表現している。そしてその悪童を何度も救うも裏切られる妖精の瞳のターコイズブルーがとても冷たく美しく悲し気だ。
絵本ではくじらの腹から脱出するもお爺さんを助けバラバラになってしまったピノキオの勇気を認め妖精によって本当の人間になるところで終わっているが、本作では海から戻り弱ったお爺さんの看護をし働いて食料を得る。その途中で再び出会うネコとキツネ(まだいたの?)の誘いを自らの意志で拒絶しお爺さんの元へ戻る。このシーンがすごく大事なんじゃないかと思う。ピノッキオの心根は優しくて思いやりもあるのだけれど、ちょびっと弱いだけ。人間の弱さ。人の持つ未成熟な優しさは自分にも優しく、時にそれは弱さになり本当の人間にはなれない丸太の人形。誰かが助けてくれると思っているうちはまだ未成熟。キリストだって十字架にかかり神はどうして私を助けてくれないのかと嘆いたが、神は見守りはするが助けてくれる存在ではないのだ。意識・意志・行動・・・
どうだろう、人間になれるかな。丸太のままか。ちょっと考えさせられるダークファンタジー。
イタリア映画、映像がすごく美しい。この色合いがとても好きだ。